GALLERY & BLOG

コラム

夏でも快適に。オーダースーツの涼感スタイル提案

夏はスーツを着るビジネスパーソンにとって最も試練の季節です。日本の夏は高温多湿で、不快指数が跳ね上がります。外回りの営業、オフィスでの会議、移動時の満員電車——「涼しい顔を装う」こと自体がビジネスマナーの一つとも言える中で、どんなに忙しくても、だらしなく汗でびっしょりのシャツやシワだらけのスーツは避けたいもの。

そこで今、注目されているのが「夏でも快適なオーダースーツの涼感スタイル」です。既製スーツでは得られない「自分専用設計」の快適性、素材選びの自由度、仕立ての工夫による通気性・軽量化は、プロの装いに欠かせない大きな武器になります。

本コラムでは、「素材」「仕立て」「デザイン」「コーディネート」「お手入れ」という5つの視点から、夏のオーダースーツを快適に楽しむための具体的な提案をたっぷりお届けします。

Contents

素材選びが鍵。夏用オーダースーツの涼感ファブリック

トロピカルウール

夏のスーツ地の定番中の定番が「トロピカル」。強撚(きょうねん)ウール糸を用い、ざっくりと平織りすることで軽さと通気性を実現しています。ウールは本来、湿気を吸って外に逃がす機能を持つため、夏でも意外に快適。「ウール=冬」という誤解を持っている人こそ試してほしい素材です。
オーダーでは、目付(生地の重さ)を230g/m程度まで軽くしたサマーウールを指定すれば、涼しさが段違い。さらりとしたドライな肌触りで、汗をかいてもべたつきにくいのが魅力です。

リネン(麻)

夏スーツのエレガンスを象徴するのがリネン。見た目の涼しげな風合い、通気性の高さ、そして「シワを味わう」洒落心が魅力です。オーダーなら、ピュアリネンのほか、ウールやシルクとの混紡を選ぶことで、シワが目立ちにくいのに軽やかさはそのままというバランスも追求可能。麻は着込むほど風合いが増し、自分だけの味が出ていきます。カジュアル寄りのテーラードスタイルで、ジャケパンの上着をリネンにするなどもおすすめです。

コットン

ビジネスカジュアルに寄せるならコットンスーツも◎。ナチュラルなシワ感とマットな質感が軽快で、無理に「きちっと」しすぎず柔らかい印象を演出できます。夏用の薄手コットンやストレッチ混コットンなら動きやすく快適です。

モヘア混ウール

「涼しいのにハリがある」高級素材といえばモヘア。ウールにモヘアをブレンドした夏生地は通気性がよく、シャリ感のある質感で肌離れが非常に良いです。特にダークカラーでも重苦しくならないのが利点。フォーマルな場面でも使いやすい夏の上質スーツ地です。

仕立てで差がつく「涼しさ」

アンコン仕立て

夏用オーダースーツで鉄板の仕様が「アンコン」。肩パッドや胸増し芯を排除し、裏地を減らして軽量化したスタイルで、ジャケットがシャツのように軽く羽織れます。

アンコンはカジュアルダウンした雰囲気になるため、硬すぎない職場やクールビズ対応にもピッタリ。オーダーでは裏地を半裏や背抜きにして、通気性を最大化するのがおすすめです。

一枚仕立て・背抜き仕立て

背抜きは日本の夏スーツの王道仕様。背中部分の裏地を抜いて通気性を高め、軽く涼しく着用できます。一枚仕立て(完全アンライニング)はさらに涼しいですが、型崩れしやすいので生地選びや仕立ての腕が試されます。オーダーなら体型に合わせて補正するので、型崩れを最小限にできます。

軽量芯

オーダーなら芯地も選べます。夏向けは薄い軽量芯にすることでゴワつかず柔らかいフィット感。軽くなる分、長時間の着用でも疲れにくくなります。

デザインとディテールで涼感を演出

シングルブレストで軽快に

夏はダブルよりシングルブレストが軽快。ボタンを開けたときのドレープも自然です。2ボタンや3つボタン段返りなど、シルエットを細かくオーダーして軽さを演出しましょう。

開き見せ・本開き袖口

袖口を開き見せ(本開き仕様)にするのも、夏に袖を軽くたくし上げる所作を美しくします。オーダーならではのディテールです。

パッチポケット

ジャケットの腰ポケットをパッチポケットにすると、軽快な印象に。リネンやコットンなどカジュアル素材との相性も良く、盛夏のジャケパンに最適です。

コーディネート術:インナーと小物

インナーはドレスTやポロ

クールビズが普及したとはいえ、「ただの白Tシャツ」では場面によってはカジュアルすぎて信頼感を損なうこともあります。特に商談や会食など、相手に誠意を伝えるシーンではきちんとした印象が欠かせません。
そこでおすすめなのが、吸汗速乾機能を備えたドレスTシャツや上品なポロシャツ。襟元がしっかりしたデザインなら、ジャケットを脱いだ姿でもだらしなくならず、きちんと感を演出できます。さらに、カラーを白やネイビーなどのベーシックカラーにするとビジネスシーンで使いやすく、さりげなく品格をアピールできます。

ネクタイの選び方

夏の蒸し暑い時期、首元の重さや蒸れが不快感の大きな原因になります。シルク100%の光沢あるネクタイは上品ですが、密度が高くて熱をこもらせやすい欠点も。そこでおすすめなのが、シアサッカー、リネン混、コットン素材など、軽量で通気性に優れた夏用ネクタイです。
素材感が爽やかなので、見た目にも涼しげ。ブルー、ライトグレー、ベージュなど明るめの色を基調にすれば、重苦しさを感じさせず、相手にも清涼感を伝えられます。また、ストライプや小紋柄などのクラシックなデザインも、夏素材にすることで一気に軽快に。

ベルト・靴

全身の印象を軽やかにまとめるためには、革小物も夏仕様に切り替えるのがポイントです。たとえば、靴は重厚な黒の内羽根より、スエードのローファーやタッセルローファー、軽快なコインローファーなどを選ぶと季節感が出ます。色も明るめのブラウンやネイビー、グレーを取り入れると柔らかい雰囲気に。

ベルトも同様に、編み込みレザーやキャンバス素材など、カジュアルながら上品さを保つデザインがおすすめです。カラーを靴とトーン合わせすることで、コーディネート全体に統一感が生まれます。

さらにオーダーシューズの場合、夏用のライニングを薄くしたり、通気穴を設けたりすることで格段に快適さがアップします。蒸れを抑えつつ高級感を損なわない仕様は、大人の足元を涼やかに彩る大切な要素です。ぜひ細部まで夏を意識したセレクトを心がけましょう。

お手入れ・メンテナンスで長く快適に

こまめなブラッシングと陰干し

夏場のスーツは、汗や皮脂汚れ、ホコリを特に吸いやすいものです。ブラッシングは単なるホコリ落としではなく、繊維を立たせ、通気性を保ち、虫食いを防ぐ基本的なお手入れです。特に夏素材のトロピカルウールやリネンは目が粗く、ほこりが入り込みやすいので、着用後は軽く全体をブラッシングする習慣をつけましょう。

また、帰宅後は型崩れ防止の厚みのあるハンガーにかけ、風通しの良い場所で陰干しするのがおすすめです。直射日光は色褪せや生地の劣化を招きますのでNG。1日着たら少なくとも1~2日は休ませるサイクルを意識し、スーツを複数用意してローテーションすることで、清潔さとシルエットを長持ちさせられます。

スチームでシワをケア

夏スーツの素材は軽量で柔らかいため、シワがつきやすいのが特徴です。特にリネンやコットンは「シワも味」とされますが、あまりにクシャクシャではだらしなく見えてしまうもの。軽いシワは着用中の動きに伴う自然な魅力ですが、目立ちすぎる場合はスチームでケアしましょう。家庭用のスチーマーを使って、ジャケットをハンガーにかけたまま全体に蒸気を当てると、生地がふわりと膨らみ、シワが自然に取れます。アイロン台に置いてプレスするよりも、立体感を保ちながら仕上げられるのもポイント。忙しい朝でも短時間でできるため、ぜひ日常の習慣に取り入れてください。

クリーニング頻度

夏は汗をたくさんかくぶん、汚れが繊維に染み込みやすい時期です。放置すると黄ばみや臭いの原因になり、せっかくのオーダースーツを台無しにしてしまいます。だからといって過剰なクリーニングは生地を傷めます。目安は「汗をたっぷりかいた日」「数回着用した後」「シーズンの終わり」にプロクリーニングを利用すること。
特にオーダー店で推奨される「汗抜きコース」などのオプションを選ぶと、夏特有の塩分や皮脂汚れをしっかり落として繊維を長持ちさせられます。自分のスーツの生地特性を理解して、適切な頻度と方法を選ぶのが、長く愛用するためのポイントです。また、クリーニングから戻ったらビニールカバーを外し、湿気を逃してから保管することも大切です。

まとめ

リネンは「涼感」「通気性」「風合い」といった夏の装いを豊かにする要素をすべて備えた素材です。その一方で、シワやゴワつきという個性を受け入れ、「楽しむ」意識が大人のスタイルを作ります。
オーダーなら体型に合わせて美しいシルエットを実現しつつ、素材や仕立てを夏仕様に最適化できます。ぜひ今年の夏は、リネンを取り入れた装いで涼しく、そして自分らしく過ごしてみてください。

DAVID LAYERでは、生地約15,000種類・裏地約1,000種類・ボタン約1,000種類の中から、お客様のお好みに合わせてカスタマイズが可能です。
採寸は0.5cm刻みできめ細かく行い、お客様の体型を隅々まで測定し、身体のクセや特徴を補正できるスーツを制作します。晴れの日の一着からビジネススーツまで、いろんなシーンに合わせたコーディネートをご提案いたします。
オーダースーツは敷居が高いと思われがちですが、そんなことはありません。ご相談だけでもOKです!
お気軽にお問い合わせくださいませ。皆様にお会いできる日を楽しみにしております。